土地購入で意識すべき日影規制について!注意点や北側斜線制限の違いも解説

土地購入で意識すべき日影規制について!注意点や北側斜線制限の違いも解説

住宅用地の購入を考えているお客様から、土地に関する情報に記載してある日影規制とは何かとのお尋ねは、比較的多くあります。
もし規制内容を知らずに購入してしまうと、いざ建物を建てる際に理想の家が建てられず、後悔するおそれがあるでしょう。
今回は日影規制とはどのような規制内容なのかと注意点を述べつつ、日影規制と類似した言葉である北側斜線制限も解説します。

土地の購入前に知っておきたい日影規制とは

土地の購入前に知っておきたい日影規制とは

日影規制とは、建物の高さを制限する内容になっており、太陽光が当たらない住宅を増やさないのが目的です。
建築基準法に定められており、日本のどの地域でも12月22日を確認する際の基準日としています。
なぜこのような規制が生まれたのか、対象区域などは知っておくべきです。

日影規制が生まれた背景

1970年代は、核家族化による住宅需要の高まりに対応するため、大型マンションが急増し、1日を通して日が当たらない物件が増加しました。
その結果、日照権に関する訴訟が多発しました。
日照権とは、住宅に対して一定の時間の日照を確保する権利であり、日照が確保できない場合は訴訟が可能となります。
日照権に関する数多くの訴訟を受けて、住宅を建てる際には近隣住宅への陽の光が遮られないよう、政府が規制を設けています。
住宅を建てる目的で土地を購入する方は、制限されている地域でないかに注意が必要です。

制限の内容の詳細と対象地域

12月22日は冬至であり、日照時間が1年の中でも短い日を基準としています。
基準日の8時から16時の8時間に指定された時間以上に日影がある場合、制限に違反しているため住宅の建築は許可されません。
日影の指定時間は居住地域や周辺の建物によって異なりますが、3時間から5時間以上の日影があると規制対象となります。
建築基準法や都市計画法などの法律において、土地の用途が指定されている地域を「用途地域」と呼びます。
規制の対象となる地域には種類があり、第1種・第2種低層住居専用地域や第1種中高層住居専用地域です。
住居専用地域とは住宅街が広がっている地域であり、マンションや一戸建て住宅などの建物の種類が多く、他地域よりも日影ができやすい傾向があります。
したがって、第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域は、制限が厳しくなっています。

制限の読み方

「5-3h/4m」と表記される日影規制について、お客様から読み取りかたがわからないとの質問を受けます。
前半の数字は敷地の境界線からの距離を示しており、5mから10mの範囲では5時間、10mを超える場所では3時間以内に日影がかかっても規制上は問題ありません。
後半の数字は日照を測定する高さを示しており、地上から4mの場所で測定したことを示しています。
なお、4mは2階建ての窓の中心に相当する高さであり、住宅の3階の窓や2階建ての高さは6.5mとなります。

土地購入において日影規制に関する注意点

土地購入において日影規制に関する注意点

日影規制は法律で細かく定められており、すべてを理解するには時間がかかります。
規制に関してとくに注意すべき3つのポイントは理解しておくべきです。

建物を建てる際に日影規制で希望に添えない場合がある

第1種および第2種の低層住居専用地域と用途地域の指定がない区域では、軒の高さが7mを超える建築物や3階以上の建築物が規制の対象となります。
軒の高さとは地面から屋根組みまでの高さを指し、屋根の頂点ではありません。
木造の一戸建て住宅であれば、3階建て以上の住宅が該当します。
しかし、吹き抜けや天井を高くするなど開放的なプランを希望される場合は、2階建てでも制限される可能性があります。
建物の用途地域が規制対象である場合、理想とする家が建てられるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

複数の用途地域を跨ぐ場合は規制が複雑になる

用途地域は細かく区切られており、1軒隣になると用途地域が異なるケースが頻繁にあります。
このようなエリアでは、土地を購入した地域と隣接した住宅で適用される規制の内容がそれぞれ異なり、複雑になることに注意が必要です。
通常、規制区域対象外の建物は高さが10mを超えていなければ規制対象とはなりませんが、規制対象区域に日影を生じさせると、適用対象区域の建物とみなされます。
いずれかの地域で規制に関する基準を満たしていても、もう片方の地域で満たしていなければ規制の対象となるため、注意が必要です。
このような場合、規制が厳しい方を基準として家を建てなければならず、結果として家の高さを低くする必要が生じる可能性があります。

隣接しているのが建物でなければ緩和される可能性がある

日影規制は、建物が一定の時間、日影にならないように制限する規制です。
したがって、制限対象の区域であっても、道路や水面と接している場合は制限が緩和される可能性が高いです。
また、道路や河川、線路敷以外で隣接する土地との高低差が1m以上ある場合も、緩和措置が適用されることがあります。
規制時間を過ぎても日陰になる部分が周囲の環境に害を及ぼす可能性がほとんどないと判断される場合は、特例として緩和措置の対象となります。

土地購入で日影規制以外に知っておくべき北側斜線制限とは

土地購入で日影規制以外に知っておくべき北側斜線制限とは

日当たりを確保する目的の高さ制限には、日影規制以外に北側斜線制限があります。
土地の購入において北側斜線制限も理解しておくべきです。

北側斜線制限とは

建物の北側にある建物が、南からの日が当たるように定められた規制が「北側斜線制限」です。
具体的には、敷地の境界線から垂直方向に5mまたは10mの高さに対して、一定の勾配を設けて隣地の建物への日当たりを確保する必要があります。
住宅地で傾斜のついた屋根の建物や、マンションの北側に階段状のバルコニーが付いているのを見かけたことはありませんか。
そのような建物の多くは、北側斜線制限に関係しているでしょう。
注意点として、基準は真北方向であり、方位磁石の北方向と真北にはズレが生じることがあります。
地図に示された方位が磁北か真北かを確認する必要があります。
適用となる地域は、第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域、田園住居地域の5つです。
田園住居地域は、都市部の農地と宅地の共存を目的とした地域です。

北側斜線制限にも緩和措置がある

北側の土地の日当たりが良かったり、日当たりを気にする必要がなかったりする場合、条件が緩和されることがあります。
条件が緩和されれば、少し高い建物が建てられます。
北側の隣地の間に道路がある場合、道路の反対側を起点として北側斜線の位置を算出しましょう。
もし北側の隣地の高さが敷地の高さよりも1m以上高い場合は、高低差から1mを引いた値に0.5を乗じた値から北側斜線の位置が決まります。
なお、河川や水路がある場合は、河川や水路の中心線を起点に斜線位置が計算されます。

北側斜線制限に関する注意点

第1種・第2種低層住居専用地域において、日影規制と北側斜線制限の両方が関わる場合、制限の厳しい方が適用されます。
日影規制や北側斜線制限に関連した制限は他にも存在するため、見落としがちです。
緩和措置もあるため、家を建てる際は専門家に相談した方が良いでしょう。
また、高度地区は制限が厳しい傾向にあり、より厳しい斜線内に抑えて建物を建てる必要があります。
高度地区内でも、自治体によってさらに厳しい制限が設けられている地域もあるため、高度地区に土地を購入することを考えている方は、事前に制限がないか確認することが重要です。

まとめ

日影規制とは建築基準法に定められている法律で、12月22日を基準に太陽光が当たらない状態のないように建物の高さを制限する規制です。
指定されている時間以上の日影があると、制限に違反しているとして建築できないケースもあります。
北側斜線制限は、土地の北側にある建物が南方向からの日当たりを確保できるように定められた規制内容になっており、日影規制と多少異なる点にご注意ください。