賃貸物件で可能な電子契約とは?入居者側のメリット・デメリットも解説!

賃貸物件で可能な電子契約とは?入居者側のメリット・デメリットも解説!

賃貸物件を借りるときの手続きにおいて、現在では電子契約を選べることがあります。
しかし、電子契約は近年になって登場した新しい方法であり、どのような方法なのか、まだくわしくはご存じない方も多いでしょう。
そこで今回は、賃貸物件で可能な電子契約とは何か、入居者側のメリット・デメリットを解説します。

賃貸物件で可能な電子契約とは

賃貸物件で可能な電子契約とは

賃貸物件で可能な電子契約とは、賃貸借契約をオンライン上で締結する方法です。
手続きのなかでやりとりする電子データには、印鑑証明書の役目を果たす電子証明書が付与されます。
さらに、締結日時や以後の改ざんがないことを証明するタイムスタンプを付け、一定の信頼性を確保する仕組みです。
賃貸物件において、オンライン上での契約手続きはこれまで難しい状況にあったものの、宅建業法が改正された現在では可能となっています。

電子契約が近年まで難しかった理由

賃貸物件での電子契約を導入する際の課題の一つは、書面での交付が義務付けられていた書類の取り扱いです。
書面での交付が必要だったのは、重要事項説明書と賃貸借契約書です。
前者は35条書面、後者は37条書面とも呼ばれます。
これらの書類は、宅建士の記名と押印が必要であるため、書面での交付が義務付けられていました。
賃貸借契約に欠かせない両書類がオンライン上では発行できなかったため、かつては電子契約の導入が難しい状況でした。

電子契約が解禁されるまでの流れ

電子契約が解禁されたきっかけは、2019年に国土交通省が実施した社会実験にあります。
この社会実験では、書面での交付が必要だった2種類の書類について、電磁的方法による交付が試験的におこなわれました。
2020年には、ガイドラインを見直したうえで、社会実験が再度実施されています。
国土交通省が社会実験に踏み切った背景には、賃貸借契約の重要事項説明における対面原則の規制が2017年に緩和されたことがあります。
社会実験に参加した登録事業者からは電子契約を評価する声が上がり、書面での交付が必要な書類の電子化が進む流れとなりました。

電子契約をおこなうための条件

賃貸物件において電子契約が解禁されたとはいえ、オンライン上での手続きが無条件で認められるわけではありません。
電子契約を利用するには、入居者から同意を得る必要があります。
同意を得る方法に特別な制限はなく、電子メールやWEBサイトの回答フォームなどで得た同意でも有効とされています。
しかし、同意が得られなければ電子契約は利用できず、書面を交えた対面での手続きが行われるため、入居者にとっては安心です。
また、契約書類の電子化やIT重説に関して、国土交通省がマニュアルを作成しています。
IT重説とは、オンライン上でおこなう重要事項説明のことです。
国によってマニュアルが整備・公表されているため、電子契約は新しい方法ではありますが、一定の対応が期待できる状況となっています。

賃貸物件を電子契約で借りるメリット

賃貸物件を電子契約で借りるメリット

賃貸物件を電子契約で借りるメリットは、以下のとおりです。

部屋探しの費用を削減できる

電子契約における入居者側のメリットは、まず部屋探しの費用を削減できることです。
部屋探しは入居の申し込みで終わりではなく、契約手続きの際にも再度来店が求められることがあります。
引っ越し先が遠方にあると、現地までの交通費だけで大きな出費となることがあります。
しかし、電子契約を選べば、契約手続きで現地に行く必要がなくなるため、1回分の往復費用を節約することが可能です。
節約できたお金を別のことに使うことができ、引っ越しに際して家計のやりくりが楽になります。

日程調整のハードルが下がる

賃貸借契約を結ぶ際には、不動産会社の担当者と予定を合わせる必要があります。
引っ越し先が遠方にあり、現地に行けるタイミングが限られている場合、日程調整は一般的に難しくなります。
しかし、電子契約なら移動の必要がなくなるため、担当者と予定を合わせやすくなるでしょう。
結果として契約手続きのハードルが下がり、入居がスムーズになります。

来店の手間が省ける

来店の手間が省けるのは、遠方への引っ越しをする方にとっては嬉しいメリットですが、近場に引っ越す方にも無関係ではありません。
たとえ近くの店舗であっても、特定の日時に来店を求められるのは手間となることがあります。
電子契約なら、来店の手間がなくなり、浮いた時間を別のことに使うことができます。

重要書類の保管や確認が簡単になる

賃貸物件の賃貸借契約書や重要事項説明書は、入居後にも確認することがある重要な書類であり、大切に保管しておく必要があります。
書面で交付されると、ファイルなどに保管することが一般的で、どうしても場所を取ります。
しかし、電子契約を選べば、電子書類での発行となるため、パソコンやスマートフォンなどで保管可能です。
重要書類が場所を取らないため、長期にわたって保管していても負担になりません。
また、電子書類なら、保存時の日付や書類名などの工夫によって、必要なときにすぐに検索して内容を確認できます。

賃貸物件を電子契約で借りるデメリット

賃貸物件を電子契約で借りるデメリット

賃貸物件を電子契約で借りるデメリットは以下のとおりです。

契約書の全体像を把握しにくい

電子契約を用いるデメリットのひとつは、契約書の全体像を把握しにくいことです。
契約書の全体像を把握するためには、手続きの中で提示される書類に細部までしっかり目を通す必要があります。
このとき、電子契約では、パソコンやスマートフォンなどの画面上で契約書を確認することになるでしょう。
パソコンやスマートフォンの画面は、書面に比べて小さいことが多く、一度に確認できる範囲が限られています。
そのため、電子書類は一覧性にやや欠ける点があり、書類の閲覧に手間取り、契約書の全体像を把握するまでに時間がかかることが、電子契約ならではのデメリットと言えます。

相応のインターネット環境が必要

賃貸物件の契約には重要事項説明が必要であり、電子契約ではIT重説がおこなわれます。
IT重説を受けるためには、相応のインターネット環境が必要である点は注意すべきデメリットです。
インターネット環境が不十分だと、手続き中に音声や映像が乱れるなどの問題が発生し、IT重説に必要な条件を満たせなくなります。
IT重説ができない場合、電子契約を進めることができず、入居手続きが進まない可能性もあるでしょう。
IT重説をおこなうために十分なインターネット環境が整っていない場合は、通信速度の速い回線に変更するなどの対応が必要となります。

インターネットに不慣れだと対応が難しい

電子契約には多くのメリットがありますが、それらはインターネットに慣れていることが前提となっています。
もしインターネットに不慣れだと、操作方法がわからず、電子契約の手続きが逆に手間になることがあります。
その結果、電子契約がかえってデメリットの多い方法となってしまうことも考えられるでしょう。
また、電子契約は選択肢の一つとして解禁されたに過ぎず、現時点での標準的な方法ではありません。
賃貸物件のオーナーにもインターネットに不慣れな方がいるため、電子契約が常に好まれるわけではありません。
インターネットでの手続きに不安を感じる場合や、デメリットを強く感じる場合は、従来通り書面で対面契約を結ぶ方法を選ぶことをおすすめします。

まとめ

賃貸物件で可能な電子契約とは、電子証明書などを用いてオンライン上で賃貸借契約を結ぶ方法です。
入居者にとっては、契約手続きにあたって来店の必要がなくなり、費用や手間が省けるうえ、契約書類の保管や確認も簡単になることがメリットです。
デメリットには、電子書類の特徴から契約書の全体像を把握しにくい、相応のインターネット環境が必要、インターネットに不慣れだと対応が難しいなどがあります。